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週刊づらげるげ
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「ようやく新しい殿様が国入りされるそうじゃ」 筆頭家老の唐吉郎は そう言うと胸を撫で下ろした。 「しかし噂ではかなりの”うつけ”と伺いました 某はいささか心配であります」 唐吉郎よりも若い家老の重兵衛は そっと溜息をついた。 「まあまあ、そう考え込むな 考え過ぎるのがそなたの悪い癖 全ては来てからじゃ」 唐吉郎はそう彼を諫めた。 それからある日 新しい殿様が多くの家来を引き連れ登城した。 お迎えする側の唐吉郎と重兵衛は 座敷の前の廊下で出迎えた。 すると陽気で騒がしい声が 廊下中に響き渡り 二人は思わず顔を上げた。 「おお、これはこれは出迎え御苦労」 はだけた派手な着物と乱れた髪 そして明らかに赤ら顔の殿様は そう言って二人を労った。 二人は呆気に取られながらも 殿様について座敷の奥に座った。 「いやはや、長旅も肩が凝る もっと酒はないのか? この地の名産の肴はないのか?」 着いて早々に遊ぶことにしか興味を持たない その振る舞いに重兵衛は落胆した。 「は、上様の意に添うように 手筈をおつけ申し上げます」 重兵衛の杞憂を尻目に 唐吉郎は媚びへつらうように笑いながら頷いた。 するとその時彼らのいる座敷に 使いの者が現れこう言った。 「上様 はばかりながら申し上げます 先日の大雨で田畑が流された村人が 陳情に参っているのですが」 「これ、着いたばかりでお疲れの上様に 何たる無礼!」 唐吉郎は話を遮るようにして激昂した。 「しかし話だけでも・・・」 重兵衛はためらいながらも口を開いた。 「ならぬ! 上様の意に沿うことが我らの務めなのじゃ それともそなたは上様に逆らう所存か?」 唐吉郎はそう言って重兵衛を問い詰めた。 「これ、諍いはもうよいか」 成り行きを聞いていた殿様は 面倒臭そうに首を傾げてこう言った。 「重兵衛と申したな 儂が遊びに興じるのは不服か?」 しばらく考えた後 重兵衛は重い口を開いた。 「不服ではございませぬ ただ、上様の本分を忘れてはならぬかと」 「重兵衛! 上様に何たる無礼なことを 上様に対してお詫び申し上げよ」 唐吉郎は殿様の顔色を窺いながら 重兵衛を叱り飛ばした。 重兵衛は 「いえ、某は上様に 立派にこの国を治めて頂きたいと思い こう申し上げております」 重兵衛は絞り出すような声でこう進言した。 「重兵衛、貴様・・・」 唐吉郎は殿様の目の前で 自分が陥れられているように感じて許せない。 「もうよい、わかった 重兵衛は少し席を外せ 儂は唐吉郎と話がしたい」 そう言って殿様は 重兵衛を座敷から出るよう促した。 長いようで短い時間の後 唐吉郎は真っ青な顔をして座敷から出てきた。 「重兵衛 今度はそなたに話しがあるそうじゃ・・・」 入れ替わるようにして 重兵衛は座敷に入ると 相変わらず崩れた姿勢で佇む殿様は 彼を近くに招いてこう尋ねた。 「改めて聞こう そなたは儂が遊びに興じるのは不服か?」 「いえ、遊ぶことを咎めるつもりはございませぬ ただ、上様の本分を・・・」 「それで儂を諫めるつもりなのじゃな?」 重兵衛を遮るように殿様は 真剣な眼差しで少し語気を強めてこう尋ねた。 「はっ」 長い沈黙がしばらく続いた後 意を決して重兵衛は頷いた。 「ははは、天晴れじゃ さすが新しい儂の家来である やはり家来の本分はこうでなければ」 座敷中に響くような笑いを見せ殿様は 続けてこう言った。 「重兵衛 そなたを筆頭家老に任ずる」 「あっ・・・」 言葉に窮した重兵衛に対して 殿様は悪戯っぽく笑ってこう言った。 「案ずるな 唐吉郎は同じ理由で先ほど解任した」
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