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週刊づらげるげ
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「杣七さん 私を連れてこの家を出ておくんなまし。」 私はそう言って杣七に迫った。 私の名はお園。 播磨屋という商家の一人娘だが 使用人の杣七という想いを寄せる者がいた。 杣七も私のことを慕ってくれていたが 私には隣町の商家に嫁ぐ約束が成されていた。 相手の若君の悪評はもちろんのこと 杣七と別れることは 私にとって耐えがたいものだった。 私は杣七に駆け落ちの約束をし 気づかれぬようこっそり屋敷を出ようとした。 「お嬢様 こんな夜更けにいかがされました?」 暗がりから番頭が現れ私は狼狽した。 「そういえば杣七の姿も見かけませぬな もしや聞き捨てならぬことをお考えか。」 「そ・・・そんな。」 「せっかく目をかけてやったものを 恩を仇で返しおって 杣七の居場所を教えて頂こう。」 「教えて・・・何を。」 「見つけ次第・・・!」 そう言うと番頭は懐から匕首を取り出した。 「いけませぬ!」 私がそう叫び番頭の行く手を阻んだのと 番頭が私を振り切って 屋敷を飛び出そうとしたのは 同時の出来事だった。 「あっ・・・。」 私と番頭はもみ合って倒れ 私の胸には深々と匕首が突き刺さっていた。 「お嬢様!」 番頭は他の使用人達を呼ぶと こう叫んだ。 「お嬢様が杣七に刺された! 奴はまだ遠くない所にいるはず 必ず探し出せっ!」 私は彼らとは逆の方向の 杣七の待つ丘に向かって走り出した。 私の体はもうこの世のものではなかった。 丘では杣七が 私を見るなり心配そうに駆け寄った。 「杣七さん 残念ながら私は行けなくなりました。 どうぞあなただけでもお行きなさい。」 番頭の追手が来ることを伏せ 私は杣七に訴えた。 「えっ、何故ですかっ!?」 「理由は申し上げられませぬ。」 納得しない杣七に私は歯痒さを感じていた。 「それでは合点がいきませぬ・・・ あの相手の元に嫁ぐおつもりですか?」 「ええ。」 一瞬の沈黙の後 私は咄嗟に嘘を言い放った。 「彼は実はとても優しいお方。 そなたのような身分の低い者とは違うのです。」 激昂する杣七を諦めさせるには 他に手立てがなかった。 「それは、まことかっ!?」 「はい、そなたにはもう愛想が尽きました。 さぁ、もう行きなされ。」 張り裂けそうな気持ちを隠しながら 私は精一杯演じた。 無念を滲ませ走り去る杣七を見送り 追手が来ないことを確かめた私の心は 丘の上に咲く桜の木の下に舞い落ちた。 私の心を映すように 燃えるような桜の花びらが私を包んでいた。
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