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週刊づらげるげ
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「杣七さん 私を連れてこの家を出ておくんなまし。」 お園はそう言って私に迫った。 私の名は杣七。 幼い頃に播磨屋という商家に奉公し 今は旦那様や番頭からも目をかけて頂き 商品を任せられるまでになった。 私には旦那様の一人娘でお園という 想いを寄せる者がいた。 お園も私のことを慕ってくれていたが お園には隣町の商家に嫁ぐ 約束が成されていた。 相手の若君は女癖が悪いと 噂が絶えなかったのだが 播磨屋の存続のためなら仕方なしと 皆諦めていた。 もちろんお園は猛反対した。 そしてある日私に打ち明けた。 「あなたほどの器量があれば きっとどこでも成功しますわ。」 「私を拾ってくれた御恩 旦那様を裏切ることはできませぬ。」 「ならば嫁いだ私が どのような目に遭っても良いと。」 「そっ、それは・・・。」 「あなたをお慕い申しております。」 「おっ、お嬢様。」 「どうぞ、お園と呼んで・・・。」 しばし沈黙が流れた後 お園は覚悟を決めたようにこう言った。 「夜明け前に村外れの丘でお待ち申し上げます。 あまりここで長居をすると 怪しまれるのでこれにて。」 私はこっそり屋敷を抜け出し 約束通り丘の上でお園を待った。 丘の上にある一本の大きな桜は 私達の未来を祝福するかのように 燦然と咲き誇っていた。 しかしいつまで待ってもお園は現れなかった。 私は心配で居ても立ってもいられなかった。 そこへ丘の向こうから 髪を振り乱しながら駆け寄るお園の姿を見つけた。 私は慌てて駆け寄ると お園は息を切らせながらこう切り出した。 「杣七さん 残念ながら私は行けなくなりました。 どうぞあなただけでもお行きなさい。」 「えっ、何故ですかっ!?」 私は耳を疑ってお園に尋ねた。 「理由は申し上げられませぬ。」 「それでは合点がいきませぬ・・・ あの相手の元に嫁ぐおつもりですか?」 「ええ。」 一瞬の沈黙の後 お園は冷たくこう言い放った。 「彼は実はとても優しいお方。 そなたのような身分の低い者とは違うのです。」 「それは、まことかっ!?」 「はい、そなたにはもう愛想が尽きました。 さぁ、もう行きなされ。」 うんざりした表情でお園は告げた。 私は涙をこらえて走り出した。 それから数年後 遠い国で商人として成功した私の元に 播磨屋が潰れたという風の噂を聞いた。 私はお園の身を案じながら屋敷の庭に目をやった。 庭には朝日を浴びて光り輝く桜が あの日の丘の桜のように咲き誇っていた。
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